営業マンが取引先を訪問した時に為すべきこととは?

さて、7月中旬の連休の真っ只中、梅雨の合間というのに、とてつもない猛暑に見舞われている都内を含む関東圏。異常気象が蔓延し始めてからだいぶ年月が経過したように感じますが、これだけ異常気象が続くと、体調にも悪影響が出てくるばかりか、生活環境が激変していることを痛感します。

さて、今回は、与信管理に係る研修のテーマに纏わる話題を一つお届けします。

あるコンサル先の社長様から、コロナ禍の影響が徐々に薄れていく中、出張や会社訪問が可能な状態になってきた中で、是非とも営業マンが取引先を訪問する際に心掛けるべきポイントを当方の実体験に基づいて伝授して欲しいとのご要望に基づき、90分間に亘るセミナーを先日実施させて頂きました。

思えば、前職の総合商社時代の審査マンとして、国内外に亘り、数知れない程の取引先訪問を経験してきました。失敗経験もあれば、上手くいった事例もあり、研修材料には事欠きません。場数を踏ませた頂いたことにより、自分自身が成長できたと思っております。

このセミナーでのポイントを要約しますと、以下の6点になります。

1)訪問前に訪問レポートの80%程度は完成させてから必ず臨むこと。その為に、訪問前に必ず書面にて、訪問者のリスト(肩書き含む)、訪問の目的、及び訪問当日に聴取・確認したい事項を事前に通知しておくこと。

2)営業マンの立場で訪問すると雖も、与信管理の一環としての「訪問調査」の要素を含むものであることを認識すること。

3)取引先訪問は定性分析の宝庫と強く認識し、全て見たこと、感じたこと、思ったことは全てメモに残し、記憶に残すこと。

4)取引先の事務所のみならず、工場や倉庫等があれば、必ず自分の目でそれらのオペレーションを見学すること。

5)決算関連の質疑応答ができるネットワークの構築を心掛けておくこと。

6)可能な限り、懇親の意味を込めて夜の会食(宴席)の場所を設けて、日中とは別の雰囲気である情報収集の場を設営すること。

決算書を毎年定期的に入手できている先であれば、決算関係の質問をいくつか列挙して含めておくべきであるのは言うまでもありません。その際、社内の審査業務を所管する管理部署の方にも質問内容をチェックしてもらうことをオススメします。

海外出張を伴い取引先訪問などの機会では、通常では夜の会食の場が設けられるのが普通です。そのような貴重な機会を逃すことなく、積極的にフランクな気持ちで会食に臨み、日中の面談時には詳細に聞けなかった、またよく理解できなかった話題についても、その場で再度尋ねてみると良いでしょう。仮にアルコールが入ったリラックスした状態では、日中とは別の回答を引き出せるかも知れません。ただ、注意したいのは、会食の場でメモをその場で取ることは控えましょう。その日、会食後に宿泊ホテルの自分の部屋に戻ったら、すぐにメモ書きして紙に残すようにしておくと良いです。

審査部署の方が常に取引先を訪問する機会に恵まれるわけではなく、また取引先によっては、管理部署の同行をあまり快く思わない風潮があるのは今も昔も一緒だと思います。営業マンの特権として、自然体で取引先を訪問できるのは羨ましい限りです。そのような貴重な場を絶対に無駄にしてはなりません。

営業マンの方の与信管理能力の向上は、全ての会社様にとって利益をもたらすものであり、その意味で、取引先訪問は、取引先の信用度を見極めるきっかけになる重要な場・機会と言えます。

是非とも、このような貴重な場を最大限活用して、皆さまの会社の与信管理能力の向上にお役立て頂ければ幸いです。

与信管理コンサル(リスク管理コンサル) 髙見 広行

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