信用情報を軽視するな!「火のない所に煙は立たぬ」

皆さん、信用情報って何のことだと思いますか?あまりピンと来られない方も多いかと思います。与信管理の世界では極めて重要な用語なんです。所謂、取引先様に係わる対外信用面に関する不安情報(良くない情報)のことを指します。

今回は、この信用情報の取り扱い方の良し悪しで、債権回収面で勝負が決まるという話をしたいと思います。

「ちょっと待って下さい!え?与信管理って、そもそも取引先の決算書の財務分析を行うことが最も重要な部分であって、そんな情報の取り扱いなんて、サブ扱いでいいんではないですか?」といったコメントが寄せられそうですね。

実は、私の約30年間の総合商社での審査マンとしての経歴の中で、貸倒れ防止に努めた事案は数多くあるのですが、最も債権保全面や債権回収面で効果の高かったのは、実は決算書の財務分析ではなく、上記の信用不安情報への機敏な対応だったということです。

要は、決算書のような定量情報とは異なり、数字には現れない定量情報を補完するものとして、この信用不安情報というものがあるということです。ましてや営業基盤の弱い商社であれば尚更のこと、この情報の入手と取り扱いが、非常に重要な要素になってきます。

では、その信用情報を一体どこから入手するのか、その情報源について簡単に整理してみますと、以下のようになります。

① 信用調査機関、②マスコミ報道全般、③取引先、④社内、⑤社外の知人・友人の5つが代表的なソースになります。

この中で最も代表的なソースが①の信用調査機関になります。代表的な所を挙げれば、帝国データバンク、東京商工リサーチの2つが挙げられます。

勿論それ以外にも色々と小回りの効く小規模な情報会社も幾つかあり、私が商社で審査マンとして活動していた時代には、今より格段にその数が多かったと思います。とにかく、情報部署に所属し、四六時中、企業の情報を追いかけている情報マンの存在が思い出されます。

総合商社の審査部署では、こうした信用調査機関と取引関係があり、日常的に企業の調査レポートを数多く発注すると共に、信用情報のやり取りも行なっています。私の記憶でも、ランチの時間等を利用して、信用調査機関の情報部署の方と定例の情報交換会が設けられ、気になる業界や企業についての情報のキャッチボールを積み重ねていました。

商社によって信用情報の取り扱い方に差異があったと思いますが、私が所属していた会社ではおそらく業界一を自負できる程の情報量を有すると共に、その情報の有効活用を実現すべく、個々の会社に紐付いた膨大なデータ量を保有していたのが強みでした。

さて、私の審査マンとしてのキャリアの中で最大の貸倒れ回避案件も、実はある信用情報が出発点だったのです。尚、その教訓案件自体は、少なくとも3回のシリーズ物で、今後ご紹介することを此処にお約束します。

その信用不安情報とは、ある取引先の経営陣に新規に加入してきた(実際は派遣されてきた)一人の方に係わるきな臭い噂でした。所謂反社の臭いでした。

最初にその話を耳にした時の私個人の感想は、「え!まさか、そんなことはないだろう。」というものでした。その後、次々と出てくる事実と、自分なりに調査をし尽くした結果、出た結論が「黒」でした。

それからは、社内で営業部との度重なる協議を重ねて、役職上の上席も巻き込み、最終的に「取引撤収」の判断を決めたのです。そして、結論だけ先に申し上げますと、この決断が、10億円を優に超す大口貸倒れの完全回避に繋がったのです。信じられないと思われるでしょうが、事実です。

斯様に信用情報を決して軽視してはなりません。

単なる噂、情報と思うなかれ、与信管理の世界では、信用情報の持つ意味がそれだけ大きいということです。

与信管理コンサル 髙見 広行

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