在庫に纏わるリスクを改めて考えてみましょう!

与信管理コンサルをやっていますと、専ら債権回収の焦付の方に目が行きがちで、次いで成約残高に係る約定履行リスクの話題に移ります。

同時に、仕入先に対するリスク管理も最近スポットライトが当たってきています。

与信管理を担う者にとっては、取引ルート全体を見渡した上でのリスクを俯瞰することが重要です。

ただそこに、「在庫」に纏わるリスクはあまり話題に上ってきません。それは何故でしょうか?

そこで、今回は、在庫に纏わるリスクとは一体何でしょうか?ということをテーマに少し語らせて頂きます。

端的に申し上げますと、以下の2つに絞られると思います。

1)与信管理の観点で申し上げますと、保管場所から在庫がなくなるリスク、です。

2)商品リスク管理の観点で申し上げますと、対象商品の市場価値の変動・毀損リスク、です。

勿論、在庫取引のケースでは、倉庫料及び損害保険料、在庫を持つことに伴い発生する借入に付随する支払金利の負担が発生することは言うまでもありません。

ただ、在庫保有スキームで取引を行う場合は、上記の費用負担分を販売価格に上手くオンして、販売先に対してチャージするケースが多いと推察します。

さて、話を在庫に纏わるリスクに戻しましょう。

1)保管場所から在庫がなくなるリスクとは、一体どういうことなのでしょうか?

一つは、販売先・仕入先を問わず、自社の在庫を置いていた会社が破綻・倒産する事に伴い、当該倒産会社の債権者による債権保全の一環で、我々の在庫が一時的に差押え・仮差押えされるリスクがあります。それともう一つは、商品の盗難リスクがあり、通常これは損害保険を付保して対応します。

2)対象商品の市場価値の変動・毀損リスクとは?

一つは、相場が立っている商品の場合は、相場下落に伴う商品価値そのものに毀損が生じることです(逆に価値が上がるケースもあります)。

石油関係、大豆や小麦、銅やアルミといった商品が代表的な相場商品の例になりますが、確かにこれらの商品相場は日々上下に動くものであり、その変動リスクに晒されています。

そこで、通常は、費用は生じますが、相場でヘッジをかけて、当該損失を回避することを行います。

通常、卸業者の代表格である「商社」の業態では、販売先に紐付かない在庫は原則保有してはならないという不文律・原則があります。

仮に、特別な事情がある場合でも、社内においては、「在庫買い越し枠」を申請し、正式に許可を得る必要があります。この辺りの事情は、業種・業態の異なるメーカーとは大きく異なります。

取引スキーム上、在庫保有の取引を行う場合には、上記2点のリスクを事前にチェックする必要があります。

具体的には以下の通りです。

1)寄託与信限度を取得して、在庫保管場所を統括する倉庫・運輸会社の信用力を販売先同様にチェックする必要があります。また、倉庫料の負担を節減する為に、仕入先や販売先に対して商品を預けて保管してもらう場合は、特に注意が必要です。私自身が体験した過去の実例におきましても、仕入先・販売先共に、自社の商品を寄託して、その商品が消失した事例を経験しております。保険である程度の金額が補填されるにしても、仕入先に預けていた場合は代替調達リスクが生じますし、販売先に預けていた場合は、以後の取引が継続不可となり、転売先を探し出す必要が生じてきます。

2)商品リスク対策としては、原則として商品毎に保有上限となる「在庫枠」のようなものを設定して管理することになります。

同時に、リスク計量の一環として、当該在庫のリスクアセットを算出し、そのリスクアセットを勘案した形での取引採算を構築する必要が出てきます。

以上のように、在庫に纏わるリスクを検証した場合、色々なチェックポイントがあることがお分かりになられたかと思います。

与信管理の世界でも、商品市場リスクの分析とは切っても切れない関係にあり、信用リスクと合わせて、慎重に当該商品市場リスク分析も行う必要があると考えます。

本日は、在庫に纏わるリスクについて、改めて整理してみました。

皆様の社内で、特に在庫管理に係る制度・ルールが明確にないという会社様におかれましては、一つの参考にして頂ければ幸いです。

与信管理コンサル 髙見 広行

#与信管理 #与信管理研修 #貸倒れ防止 #与信管理コンサル #在庫管理 #リスク管理コンサル

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です