リスケ交渉のポイントを分かり易く解説します!

前回の投稿記事に続きまして、今回はリスケ交渉のポイントについて整理させて頂きます。

実際に皆さまのお取引様からリスケ要請を受けた際に、債権者側で検討すべきポイントについて簡単に解説します。

まずは、基本的な押さえるべきポイント事項を列挙させて頂きます。これらはあくまでも基本的な枠組みに過ぎませんので、ケースバイケースで若干異なってくることは、ご承知置き下さい。

①リスケ要請を受けた時点での皆さま債権者側の正確なポジションを早期に把握すること。ポジションとは、契約書締結の有無、債権残高(期日別明細付)、約定回収決済条件、成約残高(仕入先への発注済の有無、発注済商品の所在場所の確認等を含む)、担保・保証等の裏付(担保評価額を含む)等のことで、これらを全て事実として最初に認識することが出発点になります。

②リスケ要請の対象債権の確定と全債権の中に占める比率の確認を行うこと。これは、必ずしも既存の全債権に対して一括してリスケ要請を受けるとは限らない為、挙げさせて頂いています。

③お取引様との面談設営、その場での目先3ヶ月から6ヶ月先の詳細な「資金繰り表」の提出を求め、その内容を十分に精査すること。

④「資金繰り表」の精査ポイントは、以下となります。1)資金ショート発生の要因の確認、2)資金ショート金額はいつの時点でいくら発生するのかの確認、3)実際にリスケ要請をしている相手先の確認(皆さまの会社様だけなのか、他にも同様にいるのかなど)、4)資金調達予定の有無の確認(資産売却予定、代表者個人からの借入の可能性、金融機関等との借入交渉の状況)、5)今後の資金ショートの解消の目処の確認(資金ショート状態がこの先暫く継続するのか、それとも一過性のものなのか)、6)お取引先の事業計画との整合性の確認

⑤リスケの受諾条件として、然るべき担保価値の見込める「物的担保」の存在の有無とその取得の可否の確認を行うこと。また、リスケ対象債権について延滞金利をチャージすることにつきお取引様から書面で承諾を得ること。

⑥成約残の出荷の可否の検討(契約キャンセルを含め)、また仮に出荷する場合の決済条件の改訂(前金決済等)の検討を行うこと。契約キャンセルを行う上では、本来、取引基本契約書等で契約解除条項を規定し明確にしておくと対応はし易くなります。その意味で、契約書の締結という行為は商行為を行う上で重要なものになってきます。

以上があくまでも、一般的な事例を対象とした場合のポイント事項になります。勿論、リスケ交渉はケースバイケースであり、上記以外にもポイントになる事項はありますが、原則まずは上記の点を念頭に置いておくことが重要です。

特に上記⑤で指摘している点は、極めて重要です。何も見返りなしでリスケをただ受諾することは、与信管理の観点では原則あり得ないということをよく認識して下さい。リスケを受諾するということは、双方にとって非常に大きい意味を持つということです。ただ、お取引様から提示されてきた資金繰り表の信憑性が100%ないことを前提に考えれば、当然の帰結になります。

また、皆さまが主力仕入先のケース(前回投稿で説明した丸抱え与信のケースを含む)と、他に競合する仕入先が存在するケース(皆さまが主力仕入先ではないケース)とでは、多少アプローチが異なってきます。後者の場合は、主力仕入先の支援動向をよく把握し、最悪足並みを揃える必要が出てくる場合もあります。

更には、金融機関がそもそも主力債権者になっているケースでは、その金融機関から追加で資金調達できる余地が本当にないのかどうか、を確認することは重要です。金融機関がそのお取引様に対して付与している格付の問題で、現実にこれ以上貸出が不可能なケースもないわけではありません。

最後に、「リスケ交渉」は、全く同じ事例に二度と出会さない一期一会の機会であると言われています。それだけ、交渉は、慎重にかつ機を逸せず的確に進めていく必要があります。時には専門家に相談する必要もあるでしょう。いずれにしても、相手との交渉に手間と時間を要する重労働になります。

そして、上記④の6)でも触れていますが、仮にリスケ要請を受諾するにしても、お取引様の「事業計画の達成の確度」の検証作業が前提条件として必要になってきます。これは結構大変な作業です。

資金が回らないということは、企業が倒産することそのものを意味します。赤字決算とか、債務超過の話とは全く性質が異なります。お取引様の会社様が倒産するということは、皆さまの会社の債権が焦げ付くということになります。時により皆さまの会社の決算に多大な損失を与えることになり、対外的な風評悪化にも繋がりかねません。

だからこそ、日頃より与信管理にはできるだけ気を配って頂きたいという弊社からのお願いに繋がります。もし、その部分で社内資源(人材・組織等)に乏しいということでしたら、スポットベースでも結構ですので、弊社のようなリスク管理コンサルのサポートを是非ご活用されることをオススメします。

今後コロナ禍の負の遺産が徐々に表面化し、企業倒産がもっと増加していくことが予想されます。そんな中で、皆さまはリスケ要請を受ける事態も想定しておく必要があると考えます。具体的なリスケ交渉でお悩みの会社様がございましたら、お気軽に弊社までご相談下さい。臨機応援に対応させて頂きます。

リスク管理コンサル 髙見 広行

Rユニコーンインターナショナル株式会社 info@r-unicorn-international.com

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