話題の米国企業の倒産ニュースを目にして

この度、日本でもニュース等で報じられていました米国企業の倒産について一言触れさせて頂きます。

ロボット掃除機の先駆け的存在として知られる「ルンバ(2002年発売)」を手掛ける米国ナスダック市場上場企業の米国アイロボット社が2025年12月14日、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請しました。

近年中国勢との激しい価格競争でシェアが低迷。直近2025年7〜9月期の売上高は、前年同期比25%減の1億4,583万ドル(約230億円)、最終損益は2,152万ドルの赤字(前年同期は637万ドルの赤字)だった。

業績不振が長引く中で、身売り先を探したが最終的に買い手が見つからなかったようで、ルンバの製造を委託する債権者の中国企業の傘下に入る見込みのようで、米裁判所の承認を経て、アイロボット社の全株式を、主要サプライヤーである中国・深圳の杉川集団(ピセアグループ)系が取得するとあり、ピセアはアイロボット社から未回収となっている多額の売掛金債権があり、2025年12月までに米投資会社カーライル・グループから追加の債権を購入していたようです。

中国のスポンサーは勝算ありと見て今回動いているわけでしょうが、正直その意図が読めない部分があります。傷口がもっと広まるのではないかと個人的には危惧する次第です。「ルンバ」というブランド価値が毀損しないことを前提にした動きだと推察します。

かつて我が家でもルンバではなかったのですが、ロボット掃除機を購入した経験があります。当時、掃除機売り場の中でど真ん中に陳列されていた人気商品でした。しかしながら、そのブームは長く続かず、あっけなく倒産という事態に直面したというニュースです。

米国企業のチャプター11とは再生型の倒産の代名詞的存在で、基本経営者陣は交代せずに、債務の減免措置が取られ、数年後に一般企業として市場に出てくることを想定したものです(勿論、全てが再生できるわけではなく、途中で頓挫して清算手続に入る企業もありますが)。

従い、米国では、日本のように、経営者が頭を下げて陳謝する映像が流れることは基本ありません。あくまでも企業再生に向けたワンステップという認識なのでしょう。ただ、資金繰りが破綻をきたした事実は拭い去ることはできず、経営陣に一定の責任があることは紛れもない事実です。

因みに、アイロボットの日本法人の社長は「日本の顧客への直接的な影響はない。製品保証や修理などアフターサービスもこれまで通り提供する」とコメントしております。直ちに連鎖するのではなく、暫くは存続ということなのでしょうが、中国系スポンサー企業がどこまでサポートを延長してくれるか読めない点はあります。

今回、偶々ルンバを取り扱う米国企業の倒産のニュースを目にして、改めて、日本と欧米との間では、「倒産」に対するイメージが大きく異なるということを実感した次第です。

与信管理コンサル 髙見 広行

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