ある倒産のニュースに接して感じたこと

皆さん、2025年も師走に突入、今年も残すところあと僅かになってしまいました。
そんな中で、ふと目にした倒産のニュース、その企業名を見た瞬間、過去の記憶が蘇ってきました。最近、年齢を重ねる毎に記憶力が低下してきていることを実感している中で、その会社名だけは忘れずに鮮明に残っていました。すぐにネットを検索して、改めてその記憶が間違いでなかったことを確認できました。社長のお顔も拝見し、何度か過去にお会いしたことがあることを思い出しました。
今回の企業様はアパレル業界では中堅規模ながら相応の業容を誇る会社様で、登記上は大阪に本社を構える形になっていますが、私自身は渋谷区にあった東京本社を前職時代に数回営業部の者と訪問し、決算ヒアリングを実施した経緯がありました。婦人服を取り扱うアパレル業者で、社長がやり手な方だったという印象があります。その当時は、業績に波があり決して良好な成績を残しているわけではなく、また業容もまだ然程大きくはなく、それに対して前職の会社ではやや過大な取引を行なっていたという認識で、信用限度額もそこそこの金額に達していました。その意味で、審査部署が同行する形での訪問調査が必要な先でありました。
さて今回目にした記事によりますと、その会社はグループ会社1社と共に会社更生手続の申立て開始を行なったとあり、所謂、法的申請に基づく倒産に至ったことになります。負債総額は100億円を超える規模であり、近時の倒産事例の中では大型倒産の部類に入ります。本件はスポンサーによる支援の下で、再生を志向する倒産であり、同社の持つ商権自体は一部維持された上で、近い将来再生を目指すものです。因みに、目先の必要な資金手当を確実にする為、大手都市銀行よりDIPファイナンスが供与されることになっています。
関連記事によれば、新型コロナの影響を受け、2020年8月期には営業損益以下で大幅な赤字を計上。翌期2021年8月期も赤字が続き債務超過に転落していた模様。この為、各種リストラ策を実施する一方、2023年9月に金融機関に対して元本返済猶予を要請。その後は2025年半ばまでに中小企業活性化協議会が支援に入り、スポンサーを模索していた中、会社更生法による経営再建を図ることとなったとあります。
因みに、同社の創業/設立は1958年5月とあり、業歴は67年を数える歴史ある企業である。通常、企業の寿命は30年と言われ、30年経過した時点でビジネスモデルを一部変えながら、業績向上/改善を果たし生き延びてきた企業が業歴60年の会社となります。従い、今回倒産した企業も立派な社歴と業績を積み上げてきたに違いない。そんな会社でもコロナの影響には打ち勝てなかったということか、その果てに債務超過に転落したという事実は、やはり企業は生き物であるということを実感させられます。
現在コンサル契約を締結する数多くのお客様に対しても、この事例を一つの「教訓事例」として、改めて現在の取引先の信用状態のレビューの大切さを強く説明していきたいと考えます。
与信管理コンサル 髙見 広行


