海外駐在経験を振り返る(ロンドン編その1<住居について>)
過去の前職の総合商社在籍時代に、業務命令として、幸運にも海外駐在を経験させて頂きました。
今回ご紹介するのは、1999年4月〜2003年3月までの丸4年間に亘る英国ロンドンでの駐在経験を少し振り返ってみたいと思います。
今回は、あくまでも仕事面というよりは、プライベート面での話を主にさせて頂きたいと思います。
時はミレニアム時代を直前に控えていた1999年4月にロンドン駐在の事例を拝命しました。入社5年目に1年間のニューヨークでの実務研修生の経験はあったものの、駐在員として海外の地を踏むのはこれが初めてのことであり、相当な緊張感に包まれておりました。1997年2月に1回目の結婚をしていた私は、いわばまだ新婚生活の雰囲気が抜け切れない中で、嬉しい海外駐在となったわけです。しかも場所はヨーロッパの中心的な都市の一つ、英国ロンドンであったので、事前のウキウキ気分は相当なものでした。不安と期待が入り混じる中、生涯で初めて欧州の地に足を踏み入れたのでした。
まず、最初に、ロンドンでの「住居」探しの話からご紹介します。
駐在地ロンドンの所属部署の上司に頼み、赴任前から現地の不動産会社を経由して、いくつかの候補物件をセレクト頂き、資料を拝見しておりました。
エリアとしては、ロンドン中心部から見て北か南かの選択肢があります。私の場合は、その上司の方が南エリアに住んでおられた関係で、同じく南エリアで探すことにしました。そこで出てきたのが、あの世界4大大会の一つで最も格式の高いテニス大会として有名なウィンブルドンだったのです。
ウィンブルドンは憧れの場所であり、そのエリアに住むことができるだけで、夢のように感じたことがあります。日本の都内で言えば、自由が丘駅エリアのような印象を個人的には持っています。結局、駐在期間中に、ウィンブルドンのテニス観戦に行ったのは数えられる程しかなかったのですが、その中で、平日夕刻のリセールチケットを購入して、あのセンターコートでサンプラスの試合を少し観戦できたことは、今でも良き思い出として残っています。
赴任早々、ホテル暮らしの生活が1週間程あったと記憶していますが、その間も、自分達の家探しが最優先事項として、色々と有力な候補物件を見て回りました。
流石に一軒家ではないだろう、と思い、日本で言うマンション、アパートの部類に入る「フラット」に狙いを定めて、幾つか見た結果、最終的にウィンブルドン駅から徒歩20分前後でバスも通っている高台の場所で、近隣には大きな公園がある場所に決めました。
そこで第一の特徴は、当時の日本と比較して、全体的に家賃相場が高いと感じたことです。家賃どころか、物価そのものが高い、ましてや日本食は高い、という印象でした、当時の英国ポンドのレートから見ても明らかで、全体的に見ると暮らし難い場所であると感じました。
第二の特徴は、自然に溶け込んだ住環境が素晴らしいということです。日本のように隣の建物とブロック塀で区切りを設けるといった造りはあまり見受けられませんでした。基本、芝生で一体化されているという印象で、とても心が和みました。時にはリスなども目にすることがあり、日本では考えられない長閑な印象を持ちました。
第三の特徴としては、日本では駅近物件、タワーマンションなどの人気が高いと思うのですが、逆に英国では駅から少し離れていけばいく程、住環境が良くなっていくということです。バスや車での移動が必須になりますが、これは明らかにそうだと思いました。私が最初に選んだ物件も、まあ歩けば坂を上り、やはり20分は確実にかかる距離でしたね。
食材調達はもっぱら週末などに車で大量買い出しに出るケースがほとんどで、巨大な大手スーパーによく行きました。私はよく「Sainsburys(セインズベリー)」に行きましたかね。ほぼ1週間分の食材を買うようなイメージでした。ワイン売り場も豊富で、日常酒として飲むワインであれば、値段もそれ程高くありませんでした。ワインについては、日本より格段に安かったですね。
次回は当時の英国の食事事情、英国人の気質について、触れさせて頂きます。
リスク管理コンサル 髙見 広行