与信管理の基本は限度遵守の文化の養成に尽きる!

みなさん、お元気ですか?
今回は、日頃与信管理コンサルとして活動する中で、最近感じたことのうちで、特に最も重要と思われるものについてご紹介したいと思います。
それは、「限度遵守の精神の大切さ」です。
ところで、限度とは、社員全員にとって貴重な財産という認識を持たれたことはありますか?
財産? 限度ってそもそも申請手続きも面倒だし、更にはグチュグチュ審査から文句言われてむかつくし、所詮なくたっていいんじゃない?それに最近、倒産も出ていないんだから、限度なんて無視しても大丈夫じゃないの?
確かに、日頃、審査部署の方々と社内で喧喧諤諤の議論を闘わせておられる営業部の方々の気持ちも全く分からないでもありません。
私も新入社員時代にかつて、社内のある営業部署の課長の方より、以下のお言葉を浴びせられたことを思い出します。
「世の中に、審査なければ、のどけからまし」
平安時代の歌人・在原業平の歌「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」を一部引用した形のものです。
さて、その後の顛末は言うに及ばず、バブル経済崩壊という事態を受けて、呆気なく多くの取引先が倒産する事態に直面し、勢いのあった営業マンの方々も意気消沈し、限度管理・限度遵守の精神の大切さを身にしみて感じることになったことは言うまでもありません。
限度とは財産、そのものです。時に営業マンの身を守ってくれるお守りのような存在であり、同時に利益の源泉にもなる存在であります。
あらゆる分析・検討の上で社内で設定された適正な限度を取引先に供与する、そしてその限度内運用を遵守する、これぞ与信管理の真髄であり、企業の足腰を強くしていく源になるものです。
限度遵守の文化を社内に養成する、言葉ではとても綺麗に聞こえますが、要は、限度遵守ができない場合は、その営業部署は社内規程違反を起こしたとみなされ、厳しく処罰されることを意味するのです。
「限度は憲法」、と言われた時代が懐かしいですが、最近私が目にした事例では、営業部署のみならず、限度の門番役である審査部署の方々も脇が甘く、事の本質を理解していない、すなわち限度遵守の精神に大きく欠如している状態であるのには本当に唖然としました。
限度超過の追認、後出しジャンケンが罷り通る文化を養成していることは、与信管理上、極めて危険な兆候です。
限度とは、確かに見る人によっては、営業部の取引を妨害するように見える存在かもしれません。ただ、もし審査部署の方々もそのように見ているとしたら、それは大問題です。審査マンはいつ如何なる時でも常に正論を吐く、正論を吐ける存在でなければ、社内の中でリスクの防波堤の役割を果たすことなど到底不可能です。
従い、審査マンとは営業に寄り添う存在ではなく、本来経営に寄り添う存在でなければ、真っ当な業務は遂行できないはずなのです。
最後に、与信を行っておられる企業様におかれましては、改めて与信管理の基本に立ち返り、限度遵守の文化を作っていくことの大切さを、経営陣をはじめ、社内の誰もが認識し行動に移していける組織であって欲しいと、与信管理コンサルとしては切に願うばかりです。
与信管理コンサル 髙見 広行

