パリオリンピックを見て、改めて問う、「国技」とは何か?
皆さん、パリオリンピック2024はご覧になられましたか?ヨーロッパ開催ということで、それなりに時差を感じながらも、深夜気になって見てしまった方も多いのではないでしょうか?
期待通りの結果を残した種目があれば、期待ハズレに終わってしまった種目もあることと思います。全ての競技がライブでテレビやネット中継されているわけではなく、目移りしてしまいました。
開会式はとても個性的な演出で、フランスらしい見せ方で、船で順次セーヌ川を航行していくスタイルは予想しておりませんでした。
そこで、今回は、「国技」とは何か?について、少し語ってみたいと思います。
日本の国技と言って真っ先に頭に思い浮かぶのは相撲ですが、残念ながら相撲はオリンピック種目に選定されておりません。ただ、もし仮にあったとしても、日本人が金メダルを取ることは至難の業ですね?おそらく、モンゴルに金銀銅を独占される可能性もあります。相撲人気は依然として高く、最近では色々な若手力士が優勝する場所もあり、昔と比べるとだいぶ力関係が様変わりしているように思います。
相撲の次は、「柔道」でしょう。柔道イコールニッポンというイメージが一般的にはあるかと思います。ただ今や今回の開催国であるフランスの方が柔道人口の数が多く、ある意味、既に逆転現象が起きています。色々と騒がれた最終種目の男女混合団体戦の結果を見ても一目瞭然です。今回もそうでしたが、オリンピック本番で、日本人が初戦敗退したり、メダル獲得を逃すとなると、その選手は結構厳しいバッシングに遭うことになります。この背景には、柔道は依然として、日本の国技であるという固定観念があるからだと思います。
逆に、フランス発祥のスポーツである「フェンシング」に関しては、今回の日本選手の大活躍、大躍進は実に目を見張るものがありました。その背景には、一流の指導者を母国フランスから招聘し、徹底的に本場仕込みの練習に励んできたことがあります。それにしても、男女ともに素晴らしい結果を残しましたよね?心より拍手を送りたいです。
さて、最後に、「レスリング」の大躍進について触れざるを得ません。
かつては日本のお家芸の一つとも言われた種目でしたが、男子に関してはあまりメダル獲得の実績を上げれずに、長らく低迷していた時期がありました。他方で、女子の方は以前より強く、それなりにメダル獲得をしてきたのですが、オリンピック前の報道であまりレスリングのことが取り上げられなかったこともあり、正直、直前までこんなに多くのメダル候補者がいるとは思ってもいませんでした。
レスリング協会全体の立て直し、並びに指導者陣の地道な選手の育成努力の末に、今回のこうした素晴らしい結果に結びついたのではないかと感じております。まさに天晴れですね。心から拍手を送りたいと思います。
そういう意味では、「水泳」については、今試練の時かもしれません。次回のロスオリンピックでの雪辱を期待したいところです。
様々な新種目も登場し、オリンピックの種目を見ているだけで、時代の変遷を肌で感じざるを得ません。
次回のロスでは野球が再び正式種目に返り咲く可能性が高く、ソフトボールも同様に戻ってくるかもしれません。
因みに、「野球」は米国の国技ではありますが、日頃からメジャーリーグ中継を見ていても、決して米国人だけが活躍しているわけではなく、多くの中南米・カリブ海諸国出身者や欧州出身者の方々がチームの主要メンバーとして試合に出ています。勿論、米国人にとっては負けれない競技かもしれませんが、先般のワールドベースボールクラシックでは、決勝で日本に敗れているわけで、面目丸潰れといった感じですが、米国内のマスコミ報道では、米国チームをバッシングするようなネガティブなトーンでの報道はあまり見られなかったと聞いています。
国技とは、あくまでもその競技の発祥の場所(国)であることを示しているに過ぎず、それ以上のものではないということです。
よく考えれば、テニスもラグビーもゴルフも、いずれも英国発祥のスポーツですが、いつも英国人が優勝しているわけではありませんよね?
それでも、個人的には、次回のロスオリンピックにおいて、「柔道」の日本代表選手の大いなる奮起を期待したいと思います。
リスク管理コンサル 髙見 広行