マスコミと芸能界の癒着体質の根の深さを考える!<コンプライアンス問題の考察>
さて、現在世の中を大きく賑わせているフジテレビとある有名芸能人との関係に端を発したコンプライアンス問題。
過去のジャニーズ問題を契機に、大手芸能プロダクションとマスコミとの癒着関係が指弾されてから少し時間が経過して、このタイミングで暴露されたこと自体も少し不自然に思えるのですが、絶妙にこのタイミングで週刊誌が報じた事実を振り返りますと、やはりいずれこうした展開は予想されていたのかもしれません。バブル期に謳歌して視聴率戦争でも常に上位にランクインされていたテレビ局だけに、古い体質を中々内部から変えることができなかったのかもしれません。
リスク管理コンサルの仕事をしていて、近時企業倒産の件数が上昇基調にあることを肌で実感します。負債総額はさることながら、発生件数は着実に増えてきています。現に、コンサルのお客様の会社様でも幾つか貸倒れ事例が発生してきております。この傾向は2025年も間違いなく踏襲されて、さらに勢いを増していくことが予想されます。勿論、あのバブル期に見られた「倒産の嵐」と言われた規模と頻度とは比較にならないわけですが、それでも世の中的には不安要因になってきています。
企業が倒産する要因としては、財務内容の悪化、赤字計上の発覚、経営者の後継者問題等、様々ですが、近時特にコンプライアンス問題を契機として一気に深刻な対外信用問題に発展し、取引先が取引継続を避ける姿勢を見せたり、取引金融機関の貸出姿勢が厳しくなる等、特に胡座をかいてきた大手上場企業においては致命的な事態に発展しかねない由々しき大問題であります。
昨今ではマスコミで賑わせたあのトヨタ自動車関係で指摘された品質認証問題の不正行為などもそれに該当します。ある意味、自民党の裏金問題も、前回の総選挙で与党を過半数割れに追い込んだきっかけとなった正真正銘のコンプラ問題ではあります。
さて、現状注目されているフジテレビにとっては、一気に多くの有力スポンサーが離れていっているという深刻な状況に直面しております。また労組を主体にした従業員からの生の声も大きく報じられるようになってきました。もはや現経営陣体制では持たない状況であり、これに主要な番組主演者の芸能人の方々がもしも出演辞退、拒否の行動に出るようなことになれば、一気に番組が成り立たなくなってしまいます。もっと心配なのは、局の重要な財産であるアナウンサー達のモチベーションが持続するかどうかという問題です。
コンプラ問題を軽視してはいけない、もう過去とは時代も違い、企業にとって命取りになります。
にもかかわらず、フジテレビジョンのこれまで明るみに出ている対応振りは、稚拙で杜撰で、内部監査機能の機能不全とリスク管理対策が極めて甘かったと指摘せざるを得ません。それと、重要な取引先となる芸能プロダクション(芸能人)との癒着問題も大きな負の遺産として残っていたことは明白です。
ただ、現経営陣の総退陣をしたところで、本当にフジテレビが再生することが可能なのか?それは極めて微妙なところだと思っています。
かつての輝きを取り戻すためには、新しい経営陣の下で、どうしてもコンプライアンス問題との完全決着を図る必要があり、同時に、まっとうな内部監査体制、並びにコンプライアンス体制の構築と再整備が必要であると考えます。また発言力のある社外取締役の拡充も必要不可欠です。
朝のめざましテレビ、オールナイトフジ、おニャン子クラブ、一世を風靡した月9の人気トレンディードラマなどなど、バブル期は非常に存在感のあったテレビ局でした。今が正念場、何とか企業再生を目指して、生まれ変わって欲しいものです。
リスク管理コンサル 髙見 広行