魂の籠もった演説に見るかつての政治家達を振り返ってみて

さて、ここ最近、我々の生活において、猛暑、地震、台風等の自然災害に振り回されっぱなしという印象を強く持つ今日この頃ですが、ふと政治の世界に目を向けてみますと、主要政党である自民党、立憲民主党共に、実質的に代表選挙戦に突入している状況で、毎日その報道が頻繁に為されています。

両党共にそれなりに名の知れた政治家が候補者になっておりますが、個人的な感想としては、国民の心に響くような「魂の籠もった演説」を堂々と我々国民の前で為されておられる政治家は皆無だと感じています。永田町の中ではそれなりに迫力ある演説が内密に行われているかもしれませんが。

強いて挙げれば、今回、立憲民主党から代表選挙に出馬を決意された野田元総理大臣位が一番まともな方ではないかと思っています。

尚、この投稿では、私がどこの政党を指示するかについて述べるものではなく、言わば、国民目線で見て、魅力的な政治家とは?というテーマで、少しだけ語らせて頂きたいと思っています。

最近、夜にYouTubeを見ていまして、ふと過去の有名な総理大臣を張ったお二人の演説を聞く機会がありました。たまたまクリックしただけなのですが、それはそれなりに聞き入ってしまう魔の壺のようなものを押さえた、話し振りでありました。

勿論、過去のことは少しはよく見えてしまいがちではありますが、それにしても、最近の総理大臣の発言内容と比較してみますと、やはり性質が大きく異なるものであることは明白です。

一人目はあの新潟県出身の小学校卒で総理大臣にまでのし上がった田中角栄さん、そしてもう一人はまだ記憶にも新しい小泉純一郎さんです。

2人ともタイプが全く異なる政治家であり、政治信条についても時代背景の違いもあり、大きく隔たりがあります。ここでは保守派かリベラル派かの是非を問うものではなく、如何に国民に向けて直に接して熱いトークをされているか、という視点で語っております。

当時の自民党のドロドロの派閥政治のど真ん中に生きた田中角栄さんですが、その派閥抗争を乗り越えて、見事に総理大臣に就任されています。言わば当時錚々たる候補者を打ち破っての総裁&総理就任でありました。その原動力となったのが、紛れもなく角栄さんの名演説と言われた数々の演説にあると考えます。聴衆を惹きつけるあのマジック的な語りかけ風の演説内容は、聞いていて非常に新鮮に感じてしまいました。ただ、彼は後の自民党派閥政治の中枢を担う田中派を形成し、それが竹下さん、橋本さん、小渕さんの後の総理大臣を輩出する根源になります。

他方で、小泉純一郎さんは、2000年に入ってから総理大臣に就任された方ですので、記憶にまだ新しい方ですが、この方の聴衆に向けたスピーチも実に印象に残るものでありました。何よりも、ご自身のミッションに掲げた郵政民営化に突き進む為、衆議院を解散し、反対勢力を抵抗勢力と名付けて、自民党改革色を強く打ち出された方です。当時では珍しい脱派閥思想を持たれ、大臣の任命に際しても基本的に一切派閥からの要望は聞き入れなかった頑固な側面もありました。それでも、就任期間を全うされ、高い支持率を背景に最後まで走り抜けた印象を持ちます。

今回の自民党の総裁選挙の結果は一体どうなるのでしょうか?有力候補者のテレビを通じて拝見した演説・スピーチを拝見する限り、正直、どれも魂が言葉に籠もっていないと感じたのは、私だけでしょうか?

存在感と迫力感、それがある意味カリスマになっていくのだと思いますが、ましてや例の裏金問題でコロコロと発言内容がトーンダウンしていく姿を色々と垣間見ますと、政治家としての魅力に乏しいと感じざるを得ません。

政治家は言葉が命です。演説や発言内容に如何に魂が籠もっているか、本気度の覚悟が真に問われることになると考えます。

リスク管理コンサル 髙見 広行

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